ノウハウゼロ、納期は4ヶ月遅れ、校了はミスだらけ!ビール好きが未経験のフリーペーパーに挑戦した理由
第2回記事は、「静岡クラフトビアマップ」を生み出した伏見陽介さんにお話を伺いました!静岡のクラフトビールを紹介するフリーペーパーを立ち上げるも、未経験ゆえに起きてしまった制作の失敗談を取材させていただきました! – ナナコロ 編集者 たそ
バイク旅がきっかけで"ビール変態"の道へ
まずは、伏見さんの現在のお仕事について教えて下さい。
クラフトビールに関わる様々な仕事をしています。
現在はクラフトビールを扱うお店の開店準備を進めながら、ビール関連イベントの企画や、フリーペーパー「静岡クラフトビアマップ」の運営を行っています。
ビールづくしですね!どんなきっかけでビールにハマったんですか?
学生の頃に静岡から北海道までバイク旅をしたんですが、行く先々でその土地のお酒を飲みながら旅をしていました。その時にビールを通して地元の人と交流できた体験が忘れられず、ビールにどんどんのめり込んでいった感じですね。今では立派なビール変態です(笑)
大学を卒業してからすぐにビールの仕事を始められたんですか?
いえ、つい最近までビールとは別業界の企業で会社員をしていました。
学生の頃は、ゼロから行動を起こすような度胸も自信もなくて、家族や周りの目も考えて普通に就職活動をしていました。もちろんビール会社も受けましたが選考を通過できず、他の大手企業の内定をいただくことができたので、まずはそこで将来のビールの仕事のために精一杯頑張ろうということで就職しました。
なるほど。そこでビールに携わる動きは一旦止まってしまったんですか?
いえ、ビールの活動は趣味として続けていました。内定をいただいた後も、ビアジャーナリストアカデミーの受講やビアジャッジの資格を取るなど、ビールへの熱意は冷めませんでしたね。
本業では4年間広告の営業をやっていましたが、それと並行して「静岡クラフトビアマップ」というフリーペーパーの運営を行なっていたという感じです。
本業と並行とはすごい熱量ですね!フリーペーパーの運営は1人ではじめたんですか?
いえ、もともと仲の良かったビール仲間3人で始めました。
あるとき、ある1人が名古屋のクラフトビールのお店マップを見せてくれたんです。それについて、みんなでビール片手にあれこれ話しているうちに「自分たちでも静岡版を作ってみる?」という話になり、次の日にはもうそのプロジェクトのLINEグループができていました。
ノウハウはゼロ、納期は4ヶ月遅れ、校了はミスだらけ
そこから静岡クラフトビアマップの刊行準備が始まったわけですね。トラブルはなかったのでしょうか?
初版に関してはかなりスムーズに刊行できたんです。掲載店舗も静岡市の11店舗のみでしたし、全員が本業の中でやる前提だったため、空いた時間でやれるような小規模だったこともあると思います。
順調な滑り出しだったんですね!
問題はそのあとで…。
初版は各所から予想以上の反響をいただくことができたので、次は静岡市を越えて静岡県全土の店舗をカバーするべく、冊子形式で制作する計画を立てました。今考えると本当にありえない話ですが、初版に比べて10倍以上の規模になっているのに、初版と同じ期間のスケジュールを甘く組んでいたんです…
10倍以上の規模を同じ期間でやる計画とは随分と攻めましたね(笑)自信があったんですか?
自信があったわけではなく、何もわかっていなかったんですよ。そもそも印刷物を刊行するノウハウも何も持っていない3人が、「初版とそのまま同じようにやろう!」ととりあえず行動だけ起こしたような感じで…
納期には間に合ったんでしょうか…?
全く間に合いませんでした。案の定フタを開けてみれば、進行管理は行き届かないし、ページレイアウトも決まらない。納期は4ヶ月遅れで校了もミスだらけ、各掲載店舗やメーカーに謝りにいく事態になりました。各所にご迷惑おかけしてしまって、今でも本当に申し訳なかったと感じています。
途中から知人が進行管理担当として入っていただいたおかげでなんとか形にできましたが、つまづき転がりながらなんとか前に進んでいったという状況でしたね。
いきなり大トラブルですね…。フリーペーパー制作経験なしで拡大することに不安はなかったんですか?
当時、不安はあんまりなかったんですよね。クラフトビールを世に広めるという使命感みたいなものがあって、失敗が怖いという気持ちはなかったですね。失敗したときの周りの目を気にして行動出来ないということもありませんでした。
不安より先に使命感がきたわけですね。
そうです。もちろん各所に迷惑をかけているし反省すべき点は多いです。ただ、もしそこで失敗を恐れて行動しなかったら静岡クラフトビアマップは世に出ていないし、その過程で関わったいろんな人との交流も無かったと思うんです。そっちの方が怖いですね。
自分が好きなことを見直してみる大切さ
昔から人目を気にせず挑戦できるタイプだったんですか?
いえ、そんなこともありません。僕にも当たり前に人の目を気にする時期はありましたが、そこが変わったのはやっぱりクラフトビールに対する使命感が芽生えたっていうのが大きいですね。
その使命感とは具体的にはどんなものですか?
僕の使命感とは、ビール業界を盛り上げる第三者的関わりを増やすことです。ローカルのビールメーカーのほとんどは中小規模のメーカーのため人手が足りず、情報や思いが消費者まで届かない現状があります。
そこに外部から業界を盛り上げる何かがあるほうが、多くの人にビールの良さを知ってもらえて「ビール通だけの閉じたコミュニティ」にならないと考えています。
それを実現するためなら、僕個人がどう思われるかはあまり気にしていないですね。良いと思ったこと、やりたいと思ったことはすぐに行動に移すという思考回路になっていると思います。
やりたいことが明確になっていく中で行動力も高まっていったんですね。
そうですね。いろいろな人やいろいろなライフスタイルに触れられるように、業界外にも出ることも意識しています。ビール界隈の中にこもって作業していたら、それこそ「ビール通だけのコミュニティ」で終わってしまう気がするので。
お酒を通してこれからもいろんな方々とつながっていきたいと思っています。
なるほど。アンテナを広く張ってる感じですかね。
はい、直接関係のないことでも結果的に仕事につながる機会に出会えることも多いと感じています。アンテナ感度というか、キャッチする力は強いほうだと思います。
でも、それって多かれ少なかれ誰もが持っている力だとも考えています。誰でも自分の好きなものにはある程度アンテナ張ってるじゃないですか。自分はそういうものをすぐに発信したり、すぐに次の行動につなげているだけというか。
しかし、すぐ行動に移すのが怖いという人も多そうです。そういう方に何かアドバイスはありますか?
僕は「とりあえず何かやってみなよ!」みたいなことはあまり言わないようにしています。
それよりも「何が好きなのか」「最近どんなことしてるのか」など、今の話をするようにしていますね。というのも、本当は誰もが自分の好きなことで大なり小なり行動していると思うんです。それが些細なことや当たり前のことだから認識していないだけで。だからそのことに目を向けてみて、その行動を少しづつ広げていってみればいいと思っています。
それ、めちゃくちゃ刺さりますね…
確かにいきなり大きな行動をするのは難しいと思います。でもすぐにできることもたくさんありますよね。例えばSNSで好きなことをフォローしているなら、そのことについてもう少しだけ深く調べてみるとか、一歩踏み出してコメントしてみるとか、もう一歩踏み出して何か投稿してみるとか。そういう小さな一歩から踏み出してみるだけで良いと思います。
実践的なアドバイスですね!そんな伏見さんが今後力を入れていきたいことはなんですか?
自分のお店の開店はもちろんですが、アウトプットの量を増やしていきたいです。
ビールが好きだからこそアイディアはどんどん出てくるので、それをアイディアだけで終わらせないためにも、いろいろなところに顔をだして、自分の活動をどんどん外に発信して、大好きなクラフトビールコミュニティを盛り上げていきたいと思います。
静岡のビール業界が盛り上がっていくのが楽しみです!本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!
静岡クラフトビアマップ(PDFデータ):
https://craftbeer-station.com/wp-content/uploads/shizuokacbm.pdf
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