社会とのつながりを感じられない…。専業主婦が自分自身を大切にするために選んだ生き方
今回は株式会社R&Oフードカンパニーで働く松本宏予さんにインタビューさせていただきました!女性としてのキャリアに悩みながらも納得できる「自立」に挑戦した松本さんのエピソードをぜひご覧ください! ー編集者:わか
自信を持てるキャリアを積む前に専業主婦へ
まずは現在のお仕事について教えて下さい。
現在は株式会社R&Oフードカンパニーのベルメシ事業部で、アスリートの栄養・食事サポートや親御さん向けの「食」に関する情報発信などを行っています。
この一年ほどは、自社で提供している馬肉カレーやクラフトコーラなどの新商品開発に携わって、企画から実際の商品化までに携わってきました。
現在はそれらの商品を提供する「ベルメシLab.」という店舗プロジェクトを担当していて、自社商品やお店を世の中に広めるために日々試行錯誤しています。
魅力的なお仕事ですね!現職以前もそういったお仕事をされていたんでしょうか?
いえ、全くの未経験です(笑)
私は25歳には結婚出産をしていて、それから何年か専業主婦をしていたんです。新卒では営業職に就きましたがすぐに仕事からは離れてしまったので、20代はほとんどキャリアを積み上げてこなかったんですよね。
なので、いつも仕事に自信が持てなくて「本当にこれでいいのかな?」と思いながらもなんとかやってこれているという感じなんです。本当のところ、ちゃんとやれてるのかもわからないんですよね(笑)
なるほど。早くから仕事を離れた後に復帰するのはハードルが高そうですね。
そうですね。
自分は積み上げてきた実績や経験がないので、周りの仕事されている方に対して引け目を感じることはよくありますし、周りに迷惑をかけながら、よくわからない中でがむしゃらにやっているという感じが強いです。
社会とのつながりを実感できず抱いていた ”言語化できないモヤモヤ”
そうなんですね。子育てされているときから仕事の復帰を考えられていたんですか?
子育てで精一杯のときは考える余裕がなかったですね。
ただ、なんとなく悶々とすることは多かったと思います。
自分は周りよりも早く子どもを授かったので、友達と会うにしても子連れでいくことになり、どうしても周りに迷惑をかけてしまうことが多くて徐々に人と会いづらくなってしまったんですよね。
それに社会で頑張ってる周りがやたらと輝いて見えてしまって、SNSを見ていられない時もありました。
それはモヤモヤしそうですね..周りの方には相談されていたんですか?
いえ、なかなか相談できなかったですね。
そもそも結婚も出産も自分が選んでいるという話なので、あまり弱音は吐けないと思っていました。それに子どものことは本当にかわいいですし、一緒にいる生活は楽しくて充実していたんです。そういう意味で、子どもと出会えてよかったという気持ちに全く嘘はないんですよね。
だからこその微妙な感情というか..それであまり人には話せませんでした。
あと、当時はそういうモヤモヤ自体を正しく認識できていなかったと思います。今でこそ、こうやって振り返って話すことができますが、その時は自分がどう感じているかすらわからずに無意識のうちにストレスを感じ続けていたかもしれません。
「自分」という主語を取り戻すため、仕事復帰へ
モヤモヤを認識したきっかけは何かあったんですか?
モヤモヤしていたことは、あとになって認識しました。
具体的には、子育てが少し落ち着いてパートの仕事を始めたときですね。
パートを始めて気づいたんですが、わたしは子どもができてからずっと「自分」のことを呼ばれなくなっていたんですよ。
自分のことを呼ばれないというと..?
誰かに呼ばれるときはいつも、「〇〇さんの奥さん」とか「〇〇くんのお母さん」とか、そういう役割としての呼ばれ方ばかりで、自分自身のことを呼ばれていないように思えたんです。
パートに出てからそういうことを客観視できるようになって、だんだんと「自分ってなんなんだろう」と考えるようになりました。「もし夫がいなくなったらどうなるんだろう」とか「いつか子どもが大人になって自分だけになったらどうなるんだろう」とか。
考えれば考えるほど不安にもなりましたが、それをきっかけに「自立」という言葉を意識するようになっていったんですよね。
それから本格的な仕事復帰を視野にいれていくわけですね?
そうですね。
あるとき夫の仕事の都合で東京へ引っ越す事になったんですが、パートと子育てを両立できて少しずつ自信を取り戻せていた頃だったので、ちょうどいい機会だと思い、もう一度会社員として就職してみたいと思ったんです。
そこで以前働いていた会社の元上司に連絡してみたら、ありがたいことに新卒採用の仕事を紹介していただき、未経験ながらもその仕事にチャレンジできることになりました。
少しずつ着実に復帰することができたんですね!その仕事は長く続けられたんでしょうか?
いえ。それが実はこのコロナ禍の打撃を大きく受けてしまって、働いていた部署自体が失くなってしまったんです。そこでは契約社員として働いていたため、やむを得ず契約終了ということで仕事を続けられなくなってしまいました。
それから地元静岡に戻ってきたのですが、再度転職活動している中で今の会社に出会って、採用していただくことになりました。
この会社の募集枠は「企画・広報」という、またしても未経験職種だったんですが、前職でも未経験ながらなんとか成立させられていたこともあり、今回も頑張ればなんとかなるだろうという気持ちで受けましたね。
…現実はそんなに甘くなかったんですけど(笑)
ハードルを低くして楽天的にやれれば、なんとかなる
2回の転職どちらともかなりアグレッシブですね(笑)怖さはなかったんですか?
怖いとは思いませんでした。
自信があるというわけじゃなくて、あまりしっかり考えられないだけだと思いますね。いつも楽天的なんですよ(笑)
思えば高校生時代は、チアリーディング部を立ち上げたり生徒会に入って活動したりと行動的な方ではあったかもしれません。
過去にそういった活動をしたときも、自信をもってやれたことはあまりなかったかもしれません。とにかくやりたいという気持ちだけでやってることが多いですね。結局は周りに助けられながら、しかも怒られながらやることになるんですが(笑)
自信がないのに行動的というのも珍しいですね(笑)自信がない方が行動を起こすコツなどはありますか?
自分の場合は、できるだけハードルを下げるようにしていますかね。
「立って半畳、得て一畳」って言葉をモットーにしているんですが、最低限生活していくために必要なものって本当はすごく少ないじゃないですか。まさに1畳だけあれば生きていけるなと。
自分は経験や実績がない分、そうやってできるだけ期待値を高くしないように心がけていますかね。
専業主婦の時間は決して「空白の時間」ではなかった
なるほど。それなら少し自分のことを認められそうですよね。
はい。
あとは、バリバリ働いている方と比べると自信を失くしてしまうこともありますが、最近は専業主婦をしていた期間は自分のキャリアのためにも無駄じゃなかったと思えることもあります。
今の仕事は、ちょうど食事や栄養に関するものを取り扱っていることもあって、主婦生活で身につけた知識が役に立っていますし。
子どもの面倒をみながら家事をこなしていたことも、悶々としていた時期に自分についてしっかり考えたことも、直接的ではなくても仕事に活かされている部分はきっとあると思うんですよね。
何よりも、いろいろなことに対して寛大な心を持てるようになりました。
「ま、大丈夫でしょ。」と(笑)
ただ、それは仕事を再開してみたら結果的に思えただけで、専業主婦の頃にはやっぱりそれがわからなかったことなんです。だからこそ、似たような境遇の方がいれば、意外と大丈夫だよってことはぜひ伝えたいですね。
こんな自分でも何とかできてる。自信がなくても大丈夫!
似たようなモヤモヤを感じられている方は多いかもしれませんね。なにか伝えたいメッセージはありますか?
とにかく、こんな自分でもなんとかできてるので大丈夫!もし挑戦したいことがあるならやってみればきっと上手くいくよ!って言いたいです。
私こんなこと話しておきながら、実際は仕事でミスをしてしまうことも多いし、よく泣きながら仕事してるんです(笑)
今の仕事はやりがいも大きいけどプレッシャーも大きいので、常に楽しいとは言えないし、正直しんどい時間のほうが長いとに思います。本当にいつも綱渡りしてる感じで..。
だけど、そんな私でもなんとか今の仕事はやれています。
主婦の中には、キャリアを歩む人への憧れがあっても無理だと思いこんでしまう人がいるかもしれません。自分はいわゆるバリキャリって感じではないですけど、それでも自信がないなりに毎日働けているし、周りの支えも合ってなんとか成立しています。
本当は挑戦したいけど怖くてできないって方は、まず自分のハードルを下げることから始めてみてほしいと思います。私も頑張るので一緒に頑張りましょう!
広く届けたいメッセージですね!本日は素敵なお話をありがとうございました!
ベルメシLab.
https://goo.gl/maps/7cNzZqUonyzyv5Ya6
そんな松本さんが担当している「ベルメシLab.」は静岡鉄道静岡清水線の長沼駅近くにて、毎週水曜日と土曜日に営業されています。
松本さんが試行錯誤しながら運営している「ベルメシLab.」へぜひ遊びに行ってみてください!オリジナルのクラフトコーラやご飯も絶品ですよ!